Breathtaking Beauty beyond Imagination

理解を超えた美しさは人を寡黙にする

ドバイを離れ、隣国アブダビを目指して高速道路を走る。それまで道路の両側に広がっていた砂の大地の風景が、アブダビ領内に入ったとたんにその姿を変え、豊かな木々の緑が目に飛び込んでくる。砂漠の国では豊富な水や緑は富の象徴であるらしく、ことにアブダビではそうした意識が高いらしい。道路脇にも街路樹のように木々が植えられているが、そのほとんどは地下に埋めたホースから水を与えて人工的に育てているそうだ。 そうして走り続けること二時間弱。今回の旅でどうしても訪れたかった場所、「シェイク・ザイード・グランドモスク」に到着した。
ここはモスクであるとともに、「建国の父」と呼ばれて人々の尊敬を集めたUAE初代大統領、シェイク・ザイードの墓廟でもある。少し離れた駐車場から望むモスクは、青い空を背景に純白に輝き、遠目にもまばゆいばかりのオーラを放っていた。

壁面全体にも細かな彫刻が施されている。周囲に巡らされたプールに映る姿も美しい、白亜のモスク。
モスクはその全体が白亜の大理石で造られ、ところどころに金の装飾が施されている。中東でこれまで目にしてきたような華美な美しさではなく、清楚な美しさだ。千本の円柱と80のドーム、最大4万人の参拝者を収容できるという大規模なものでありながら、一輪の白百合のような凛とした趣をたたえている。
そして本堂に足を踏み入れると、そこは重厚な威厳に満ちた祈りの空間だ。高いドームからは直径10メートルものシャンデリアが吊され、床には複雑な文様を描いた手作りのペルシャ絨毯が敷き詰められている。
いずれも世界最大のものだ。そして壁から天井から柱のひとつひとつに至るまで、すべてが細かい装飾で埋めつくされている。スケールの大きさと、気の遠くなるような繊細さが、等しく並び立っているのだ。その中で人は言葉を失い、ただ感嘆して頭を巡らせ、ゆっくりと歩を進めていく。

Pursuit of Excitement, Surprises

驚きとエキサイティングを求めて

清楚な配色とイスラム建築の芸術性を存分に発揮したその姿は、他に例を見ない独特の美しさを見せる。
モスクを後にし、車窓に流れてゆく風景をぼんやりと眺めていると、ついさっきまでの体験が夢だったような錯覚に陥る。だが瞼を閉じれば、あの壮麗なモスクの姿がありありと浮かび上がってくる。純白の大理石の壁も、金色に輝くシャンデリアの装飾も、それらすべてが言いようのない美しさをたたえて、脳裏に甦ってくる。 世界は実に広く、そしてまた驚きに満ちている。自分だけの常識では測れない素晴らしいものが、まだまだ数多く残されているはずだ。そうした驚きに触れるたび、自分の世界が少しずつ広がっていき、さらにその先を見てみたいという欲求に駆られてしまう。まだ見ぬ驚きを求め続けること…もしかしたらそれが「旅」の本質なのかもしれない。
全体がひとつの芸術作品ともいえる、世界的にも最大級規模のモスク。イスラム信徒の集団礼拝が行われる金曜日は夕方以降のみの公開だが、それ以外は午前中から午後10時頃まで一般の観光客にも公開されている。ただしあくまでもモスクであるので、服装には注意が必要。
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