Lamborghini Jota - Best Italian Supercar

イタリアンスーパーカーの究極点「イオタ」

「ランボルギーニ・イオタ」という車がある。この名を聞いて眼の色を変えるのは、おそらく50代前後の男たちだろう。彼らが子どもだった頃、この車は特別な存在だった。その価値は時とともに衰えるどころか、むしろ一層の輝きを放っている。
日本の小中学生を中心に「スーパーカーブーム」が巻き起こったのは、1970年代の半ば。当時、町を走る車といえば箱形の乗用車と商用トラックがほとんどで、その多くの車体は黒か灰色で塗りつぶされていた。
そんな時代の日本に大挙して上陸した欧州のスポーツカーたちの姿に、子どもたちはもちろん、大人まで熱狂した。
ポルシェ、BMW、ランチア、ロータス、デ・トマソ、マセラティ…。そしてなんといっても至高のツートップ、ランボルギーニとフェラーリ。いずれも個性的ながら未来的なボディライン、赤やイエローといった鮮やかなカラー、多気筒・大排気量のエンジンから弾き出される強大なパワー、居住性を一切無視し、走りに徹した大胆な設計。日本のクルマには無いすべてのものが、そこにはあった。それら魅惑的な「エキゾティックカー」の中でも、「イオタ」はその生い立ちから特殊な存在だった。

イタリア車らしい官能的な曲線を見せるボディを開くと、その下にはメカ好きをうならせるエンジンやシャーシが姿を現す。
ランボルギーニ社が主力車であった「ミウラ」をベースに、その改良を目的に作り上げたのが本来の「オリジナルイオタ」である。つまりはメーカーによる開発用試作車であり、そのため1台が作られたのみだった。ところが、ミウラのフォルムを踏襲しながら、よりレーシーな姿となったイオタに、クルマ好きの富豪たちが黙ってはいなかった。彼らはランボルギーニにかけあい、同じクルマを作らせた。こうして数台の「ランボルギーニ・イオタ」が世に出ることになる。これらは厳密にいえばオリジナルイオタの複製ではあるが、通常「イオタ」といえばこれらメーカーメイドの個体を指す。個人ユーザーの改造によって多数作られたレプリカと区別するためである。 現在まで残っているイオタは7台、多くても10台程度とされているが、その中でも特にレーシーな改造を加えられたものが、この世に1台しか存在しないこの「イオタSRV」である。複数のオーナーの手を渡りながらもていねいに扱われ、手を入れられ、40年近い時間を超えて今もなお、美しい姿を見せている。そこまで人の情熱を駆り立てるのは、クルマとしての魅力に加え、その希少性が大きく関わっていることは間違いない。

Embrace Rare, Surpassing Beauty

その奇跡的な存在を、より美しく輝かせるために

世界にただひとつ。その希少性は、人の心を大きく揺さぶる。だが考えてみれば、私たち一人ひとりにも同じことがいえるのだ。世界中にどれほどの人間がいるのか知らないが、その中であなたはたった一人しかいない。あなたと同じ経験を持ち、あなたと同じ境遇に生き、あなたと同じ未来を歩む人間は、ただの一人もいないのである。そう考えたとき、自分自身がとてつもなく希少な存在に思えてくるだろう。
人は成長とともに、その精神性も変化していく。子どもの頃は夢や希望、好奇心に満ちあふれ、見たこともない「スーパーカー」に心をときめかせる。青年期には燃えるような情熱を沸き立たせ、失敗を恐れない勇気を発揮する。
だが人生の後半になってくると、傷つくことを過度に恐れ、諦めることを覚えていく。それが自分の身を守ることにつながることを知ってしまうためだ。
だが「世界にただ一人」という自分自身の価値に気づけば、そのようなこともなくなるだろう。むしろその希少性に情熱を傾け、顔を上げて、今以上を目指す勇気も湧いてこようというものだ。
まず自分の存在…その奇跡のような価値に気づき、自身の魅力を知り、それを磨いていくこと。その作業を繰り返すことで、時の流れとともにくすむことのない、底光りするような美しさを手に入れることができるのではないだろうか。
Special Thanks : BINGO Sports tel.03-5511-7722
ボディシルエットはミウラながら、中身はシャーシからして新設計というまったくの別物で、明らかにレースを意識した作りであった。当時のランボルギーニ社はレース出場を禁止していたため、「ミウラの改良」というのは社内稟議を通すための名目に過ぎなかったという説は根強い。
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