Panoramic View from Sky

空から見下ろすドバイの地

ドバイに来たなら、ここを訪れない手はない。高層ビルとしては現在のところ世界一の高さを誇る「ブルジュ・ハリファ」である。
初めてその姿を見たのは夜だった。きらびやかな光があふれる地上から、紺色の深みを増していく空へ向かって真っ直ぐに屹立するその姿は、シンプルなライトアップと相まって、美しいオーラに包まれて見えた。
だが夜が明けてから再び訪れてみると、さすがにその巨大さには息を呑む。陽光を浴びて全身から放つ銀色の無機質な輝きは天空へ向けた巨大な鏃のようで、圧倒的な存在感を見せている。
その全高は約830メートル、途中に設けられた展望デッキは452メートルの位置にあり、これは東京スカイツリーの上部展望台「天望回廊」に匹敵する高さである。
だが、ここは異国の地ドバイ。見慣れた日本の風景とはまったく違う光景が、そこからは展望できるはずだ。

真っ直ぐに空を指さす、ブルジュ・ハリファ。圧倒的な存在感と凛とした気迫まで感じられる姿。
天空の高見から見下ろしたドバイは、異質な世界だった。眼下にいくつものビルがそびえ(これらもみな数十階建ての高層建築なのだが)、その隙間を埋めるように高級ホテル、オフィスビルが建ち並び、その周辺には建築中のビル、低層住宅の群れが広がる。さらにその向こうには新たな建設予定地なのだろう、大きな更地が点在している。そうした「まだら模様」が不規則に連なっていったその先に、ペルシャ湾の海が遠望できる。「素晴らしい眺望」というよりも、この国と人々の持つパワーと熱気というものが、そこかしこから噴き上げてくるような迫力に、圧倒されてしまうのだ。 ドバイでは広く喧伝される発展ぶりとは裏腹に、産業や金融の面で難問も抱えていると聞く。だがそれでも人々はパワーにあふれ、一歩でも前へと進んでいく。それは一人ひとりが自分の中に「自分の塔」を建てていく、そんなエネルギーの発露にも見えるのだ。

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いまを生き、いま以上を常に目指して

ビルを背景にした噴水ショー「ドバイ・ファウンテン」。高さ150メートルにまで噴き上がる水と光の競演は、幻想的な美しさに満ちている。
もっと早く、もっと高く。常に「いま以上」を求め続ける人間の欲求には限りがない。そんな貪欲さをバベルの塔になぞらえることもできようが、先を目指し、ベストを目指しつつベターを積み重ねていく人々の行為が、未来を切り拓いてきたことも確かだ。そこに必要なのは純真な好奇心とまっすぐな意思、そしてそうした想いに素直に向き合う正直さなのだろう。 去り際、このビルを写生している子どもたちの一群に出会った。近所の幼稚園の園外授業のようだ。みな一心に手を動かし、思い思いの色と構図で、天空の塔を描いていた。彼らの瞳にこの塔は、どのように映っているのだろうか。そして大人になったとき、彼らは自分の心の中に、どのような塔を築いていくのだろうか。
そのあまりの高さゆえ、一枚の写真に収めることさえ困難な超高層ビル。160階建てとされるが、実際はその上がさらに階層構造になっているといわれ、現地でも「162階」「168階」という話を聞く。その高さと近未来的なルックスによって、今や世界に知られたドバイのシンボル。
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